畑道の先に広がる、小さな海
細い、細い畑道をぬけると――
そこに現れるのは、沖縄の田舎の喧騒から遠く離れた
誰も知らない小さな海。
そこは、まるで自分だけのプライベートビーチ。
白い砂浜を歩くたびに、足跡が静かに残り
潮風がそれを追いかけて頬を包む。
振り返れば、畑の緑と海の青が溶け合うように広がり
前を見れば果てしない水平線。
海と空の境目に溶ける心
目の前に広がるのは、漠然としたコバルトブルーの海と
果てしなく続く青い空。
その境目は混沌としていて、どこからが海で
どこからが空なのか、もうわからない。
ただ、そこには青のグラデーションが広がっているだけ。
その静かな光景に包まれていると
心がふっとほどけていくのを感じる。
砂浜に座り込むと、波の音が一定のリズムで耳に届き
「大丈夫、急がなくてもいい」と優しく語りかけられているように思える。
心の奥に映るもうひとつの海
そしてふと気づく。
この景色は、まるで私の心の中と同じだ。
悩みや不安、やるべきことや向き合いたくないことが混ざり合って
整理がつかないまま広がっている。
しかし、自然は、その混沌とした青の中にも
どこか静けさがあって、美しさがある。
ただ立ち止まり、深く呼吸し、波の音に耳を澄ます。
そんな何気ない時間の中で、自分の本音が
少しずつ浮かび上がってくる。
「がんばらなくてもいいよ」
「もっと自分を信じていい」
潮風の中で、そんな声が自分の奥底から
湧き上がってくるのを感じる。
スローライフという生き方の扉
白い砂浜の上には、砂時計も、ノイズも、ない。
時が止まっているような感覚の中で
ただ波の音だけが一定のリズムで流れている。
私は思わず潮風を大きく吸い込んだ。
深く息を吸ったのは、いつぶりだろう。
胸の奥まで風が通り抜け、体も心もほどけていく。
波打ち際でしゃがみこみ、手のひらに海水をすくうと
透明な水が太陽の光を受けてきらきらと輝き
すぐに指の間から零れ落ちていった。
その一瞬の儚さに、なぜか安心を覚える。
「過ぎていくこと」もまた、自然の一部なのだと受け入れられるから。
スローライフとは、こういうことなのかもしれない。
スピードや完璧を追い求めるのではなく
立ち止まり、自分自身の心の動きに耳を傾けること。
自然とともに呼吸し
目の前の景色に自分を溶け込ませていくこと。
マブイで感じる、今この瞬間
これはただのリラックスではない。
もっと深いところで繋がる。
マブイ(魂)の力で、自分とつながっている実感がある。
スピリチュアルとは、特別な力を持ったり発揮することではなく
「今ここ」に意識を向けて生きていること。
過去でも未来でもなく
目の前のこの青い海と空
波の音、そしてこの静寂。
そのすべてをマブイで感じている“今日の今の自分”こそが
本来の自分自身なのだと知ること。
慌ただしい日々の中では見えなかった“本音”が
何もないこの場所では静かに浮かび上がってくる。
「もっとシンプルに生きたい」
「もっとマブイの声を聞きたい」
そんな小さな想いが、確かな指針になる。
海が語りかけてくれること
誰も知らない沖縄の海は、静かに語りかけてくる。
「あなたはそのままで、もうすでに満たされている」と。
白い砂は陽の光を受けて淡く輝き
波は何も言わずに全てをさらっていく。
誰もいないこの海は、何も語らないけれど
すべてを受け入れてくれる。
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