ヒィーサヨー、ヒィーサヨー、アッサ、ヒィーサヨー
寒い 、寒い 、あぁー、寒いー
ムーチービィーサ、新暦の1月初めから中旬にかけた。
この時期、沖縄地方でも一段と寒さが増す。
本州に寒波が押し寄せると、ここ沖縄でも例外なく寒い。
沖縄の寒さは、東京や大阪の寒さとも違う。
本州の寒さは「冷える」といった表現が当てはまる。
しかし、沖縄の寒いは、冷えるから来る寒さではなく
風が強いために、吹きさらしの中で風が肌に突き刺さる感じの寒さ。
旧暦では12月8日で、今年の新暦では2025年1月7日がムーチーの日です。

黒糖味のムーチー ― 鬼餅
ムーチー(鬼餅)
沖縄の方言で言う「ムーチー」とは餅のことです。
鬼餅…鬼・餅がムーチー?
どういう意味?何のこと?意味が分からない。
これには、沖縄では昔から言い伝えがあり
昔話の中に登場する鬼の話がある。
んかし(むかし)んかし(むかし)
いんなが(皆が)なーま(まだ)かんぷー(髪を結う)
を結っている時代のころ。
すい(首里)に伝わる話。
いなぐうっと(妹)と、しーじゃ(あに)たいし(二人して)暮らしていた。
いなぐうっと(妹)が年頃になり嫁いでいき
一人残ったしーじゃ(あに)は、寂しさから鬼になり
村人に迷惑をかけ、皆を困らせた。
妹は鬼退治のために村に戻り、兄の大好きな餅を作り
餅に夢中になって食べているまじむん(鬼)を
崖の上から突き落とす――
という話を、小学生の頃に学校の先生から聞いた。
私にも妹がいて
妹も学校で聞いているので鬼餅の話が理解できる。
この時期になると、日ごろの仕返しばかりに
妹を捕まえ、妹の足に
餅を包んだ葉っぱをくっつける。
食べた後の餅が少し付いた葉っぱを
足に押し付けて貼り付けるのです。
我が家では、葉っぱが足の裏に張り付くと
足が鬼の様に膨らんで大きくなるという
別の鬼餅伝説物語があり――
日ごろの仕返しとばかりに、
妹を捕まえていじめていたので
今ではすっかり嫌われています。反省、反省。
ムーチーの作り方
今でこそ、スーパーやコンビニで手軽に売っているが
一昔前までは餅を学校に持って行き
友達同士で餅の交換をし、各家庭の餅の味を楽しんだ。
ムーチーの作り方は、スーパーで挽かれたもち米を買う。
スーパーで売っていない時代、私が小さい頃は
私たち子供の仕事で、もち米を挽きに行かされた。
昼から夕方にかけて、そこを往復する。
昼頃、学校から帰って来ると、かーちゃんから
(かーちゃん)「太郎、もち米を挽いてきて」
(太郎)「どこで?」
(かーちゃん)「豆腐ヤーで」
(太郎)豆腐屋さんに持ち込んで、もち米を挽いてもらう。
昔は並んで、豆腐屋さんで米を挽いてもらっていた。
挽いたもち米を家に持ち帰り
大きいタライの中で、もち米を水で混ぜながら手でこねていく。
次に、赤や黒、紫と各家庭にあった色の餅を作る。
赤は紅系の食材を使い、黒は黒糖で色付けをしていく。
紫は紅イモの粉を使う。
色のついた餅を、今度は月桃の葉で包む。
月桃を沖縄の方言で「サンニン」

*白とピンクに丸いのが花です
葉っぱを「カーサ」
サンニンガーサと呼ぶ。カーサで包んだ餅を蒸し器で作ると
家じゅうがサンニンの匂いに包まれ
この時期の“お袋の味”の匂いとなる。
作られた餅は、本土にいる娘息子に送られ
また、初めての子供が生まれた家では
ハチムーチーとして、ご近所や親戚に配り
食べてもらう風習がある。

神様にお供え
最後に、神様に日ごろの健康や家庭安泰のために
厄除けとして、ヒヌカン(台所にある火の神様)や
先祖の入っている仏壇にウサギル(お供えする)。
自分の年だけ、家の中にムーチーを吊るす。
まとめ
ムーチーの日は旧暦で12月8日。
今年の新暦では2025年1月7日。
作り方は、サンニン(月桃)の葉で色とりどりの
お餅を包み、蒸して作る。
コンビニやスーパーでも手ごろな価格で販売され
いろいろな味が楽しめる。
節分同様に鬼退治とし、厄除けの意味を込めて――
昔からの慣習として、子や孫に伝わった沖縄の行事。
地元で愛される祭りや行事の魅力とは?
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