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海に鳴り響く夏の祈り――沖縄「はーりー」の鐘が告げる季節の扉

行事

沖縄の夏は、海からやってくる。

毎年、旧暦5月4日「ユッカヌヒー」。

この日、海人(うみんちゅ)たちの魂を揺さぶる太鼓と鐘の音が、海と空に響き渡る。

その鐘の音こそが、梅雨明けの合図でもあり夏の訪れを告げる風物詩――

それが「はーりー」なのです。

はーりーの鐘が鳴ると、梅雨が明ける?

沖縄では、はーりーの鐘が鳴り響く頃、空の色がぐんと変わります。


湿った空気を吹き飛ばすような南風が吹きはじめ、空の青さが増していく。

そう、「はーりーが終われば梅雨が明ける」と昔から言われてきました。


まるで、竜宮神(海の神様)が季節の扉を開けてくれるかのように

夏の匂いが海辺の街に漂いはじめるのです。

はーりーとは? 沖縄の海に根づく祈りの祭り

「はーりー」「ハーリー」「ハーレー」とも呼ばれるこの行事は

沖縄や奄美地方に伝わる伝統的な海の祭り。

細長い木造の船「爬龍船(はりゅうせん)」を何艘も並べ

海の上で競漕する迫力あるレースが見どころです。

けれども、ただの競争ではありません。


はーりーの本当の意味は、航海の安全、大漁

地域の健康を祈願する「海への祈り」。


海人にとっては、日々命を預ける海に感謝し

神様に願いを捧げる大切な節目の儀式でもあります。

ウミンチュ(海人)の奥さまたちは

日頃からご主人の航海の安全と豊漁への感謝の気持ちを込めて

朝早くから竜宮神(リュウグウシン)へと足を運びます。


手には「ビンシー」とお酒を携え

心を込めてウガミ(祈り)を捧げるのです。

※「ビンシー」とは、御願(ウガン)用の道具一式を納めた木箱のこと。

箱の中には、線香、徳利(とっくり)、盃(さかずき)

米、塩を入れるための仕切り付きの皿が収められています。

沖縄の伝統的な祈りの場には欠かせない、神聖な祈りのセットです。

うがんばーりー:祈りから始まるレース

はーりーの当日、最初に行われるのが

「うがんばーりー(御願バーリー)」。


これは、神様へ祈りを捧げるための儀式的なレース。

勝敗を競う本番とは違い、心を整え、真摯な気持ちで漕ぐ、

まさに“祈りの航海”です。

この静けさと緊張感のある時間があるからこそ

続く本番のレースに込められる情熱が、

より一層熱く感じられるのです。

糸満はーりー:海人のまちのダイナミックな一日

最大規模を誇るのが「糸満はーりー」。


漁業の町として名高い糸満市では

旧暦5月4日になると港が人で埋め尽くされ

町全体が“海の祭り”一色に染まります。

漁師たちの本気の勝負はもちろん

企業チームや学生たちも参加し、熱気は最高潮に。


会場には屋台や地域の芸能、地元の食も楽しめるブースも並び

大人から子どもまで一日中楽しめるイベントです。

*この日は、小学校、中学校と学校は休校となります。

奥武も同様です。

奥武島はーりー:アットホームな島の風景

南城市玉城にある小さな島「奥武島(おうじま)」でも

毎年心温まる「はーりー」が行われています。


ここでは、島内外の漁師が集い、住民総出で応援する姿が印象的。


観光客も一緒に拍手を送り

太鼓の音に合わせて手拍子を打つ

そんなアットホームな雰囲気が魅力です。

島の人々が大切に守り続けてきた伝統が

静かに、けれど確かに今も息づいています。

ユッカヌヒーってどんな日?        

「ユッカヌヒー」とは、旧暦5月4日のこと。


「ユッカ=四日」「ヌ=の」「ヒー=日」、つまり「4日の日」という意味です。

この日は、海の神様に感謝を捧げ、豊漁と安全を祈願する特別な日。


沖縄の各地で、はーりーの鐘と太鼓が鳴り響きます。

2025年のユッカヌヒーは【5月30日(金)】。


もしこの日沖縄を訪れるなら

ぜひどこかの港で、海人たちの熱い一日を体感してみてください。

子どもたちに伝える、はーりーという“生きた学び”

最近では、地域の伝統行事を子どもたちに伝える取り組みも広がっています。


特に注目されているのが「子どもはーりー」。

小学生から中学生までが参加できる部門があり

小さめの爬龍船(はりゅうせん)を使って、安全に、そして楽しく漕ぐことができます。

今まさに、本番に向けて港では子どもたちの練習が始まっています。


まだちょっとぎこちないパドルさばき。

でも、「せーの!」と声をそろえて、一生懸命に前へ進もうとする姿は

見ている大人の心も熱くしてくれます。

保護者が見守る中、何度も何度もタイミングを合わせて

少しずつチームワークを身につけていく姿に

まるで未来への希望を重ねてしまうのです。

この体験を通して、子どもたちはただ漕ぐだけでなく


・海の怖さと美しさ


・命の大切さ


・仲間と力を合わせることの尊さ
を、肌で感じていきます。

こうした活動は、知育・徳育・体育・食育に加え

**「郷土教育」**の視点でもとても重要。


地域の文化や誇りを学ぶ「生きた教材」として

学校や家庭でも連携しながら大切にされています。

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伝統は“今”をつくる――だからこそ、未来へ

はーりーは、ただのイベントじゃありません。


それは、命をかけて海と向き合ってきた人々の想いが形になったもの。


それは、地域のつながりや誇り

自然への敬意を教えてくれる、かけがえのない宝物です。

梅雨の終わり、海に鳴り響く鐘の音――


それは、夏の始まりとともに

私たちの心のどこかにも“熱い何か”を灯してくれるのかもしれません。

まとめ

海からはじまる夏、未来へつなぐ鼓動

――はーりーの鐘が、今を生きる私たちに届けるもの

沖縄の夏は、海とともにやってくる。

旧暦5月4日「ユッカヌヒー」

青く澄んだ空に太鼓と鐘の音が高らかに鳴り響くその瞬間――


それは、海人たちの魂が奮い立ち

街の空気が夏へと切り替わる合図でもある。


毎年繰り広げられる「はーりー」は、ただの祭りではない。


それは、命を預ける海への祈りであり

自然と共に生きる知恵であり、地域の誇りを宿す心の祭典だ。

静けさに包まれた「うがんばーりー」で始まり

迫力満点の競漕へと熱を増していく糸満の海。


屋台が並び、歓声が響き渡る中にも

海への敬意と命への感謝が息づいている。


島の暮らしに寄り添う奥武島のはーりーには

アットホームな温もりと、人々の絆が静かに染みわたっている。

その背景にあるのは、“自然とともにある暮らし”という

沖縄の根っこに流れる精神だ。


海の恵みに感謝し、神様に願いを捧げる。


だからこそ、鐘の音が鳴ると

私たちの心の奥底でも何かが呼び覚まされるのだろう。


それは懐かしさであり、敬意であり、未来へつなぐべき“何か”だ。

そして今――その“未来”が

港でパドルを握る子どもたちの中に息づいている。

小さな爬龍船に乗り

ぎこちない手つきで一生懸命に水をかく子どもたち。


「せーの!」という声が重なり

ばらばらだった動きが少しずつ揃っていく。


笑顔と真剣なまなざしが交錯するその姿には

どこか大人のレースとはまた違う、まっすぐな熱量がある。


それは、はーりーが“生きた学び”である証拠だ。

この体験を通じて、子どもたちは感じ取っていく。


――海の美しさと怖さ。


――仲間と心を合わせることの尊さ。


――地域の伝統を、自分ごととして受け継ぐ誇り。

それは教科書だけでは学べない

生きる知恵であり、命と文化をつなぐ“橋”なのだ。

大人が受け継いできたものを

子どもたちが体で覚え、心で感じる。


その連なりこそが、地域の力であり、未来への贈りもの。

はーりーの鐘の音は、時代を超えて響いていく。


それは、過去の祈りと今の誇り、そして未来への希望をつなぐ音。


夏の始まりに鳴り響くその音が

きっと、私たち一人ひとりの中にある“大切な何か”を

そっと思い出させてくれるはずです。

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